「嫁ターン」移住のメリット・デメリット!UIターンとの違い、失敗しないコツは?
更新日: Aug 25, 2020

地方移住には、妻の故郷に「嫁ターン」という選択肢があります。嫁ターンは夫にもメリットがありますが、夫の負担が多く、離婚原因になることもあるので、夫はもちろん、妻にも覚悟が必要です。嫁ターンについて、失敗して後悔しないためのコツと合わせて紹介します。
目次
夫だけ覚悟が必要?妻の故郷へ「嫁ターン」移住をして後悔しないために

共働きが当たり前になり女性が社会で活躍する現代ですが、まだまだ家事育児を主に女性が担っている家庭は多いでしょう。共働きで頼れる実家も近くにないとなると、家事育児の面で妻に大きな負荷がかかりがちです。
負担の大きさや不公平感から家庭不和に……という事態も、あながち大げさではありません。そこでひとつの選択肢として注目されるのが、「嫁ターン」移住です。
妻が暮らしやすい環境は、家庭が安定し円滑に回る原動力になるでしょう。しかしもちろん、そのことによって夫に不満や我慢を強いることになっては本末転倒です。嫁ターンのメリット・デメリットと、うまくいくための心構えや事前準備について考えてみましょう。
「嫁ターン」とは?Uターン・Iターン・Jターンとの違いは?

近年聞かれるようになった「嫁ターン」。Uターン・Iターンなどと同じように、地方移住のパターンを指す言葉です。
嫁ターンとは?
妻の出身地や実家近くの地域に、他地域出身の夫とともに移住することをいいます。理由はさまざまですが、子育て環境を考えて移住するケースの他、妻の実家の家業を夫が継ぐためというケースもあります。
Uターンとは?
進学・就職などで地元から都市に出た人が、生まれ故郷に戻ることを指します。嫁ターンは多くの場合、妻にとってはUターンにあたります。
Iターンとは?
都市部から、出身地と異なる地方に移住するパターンを指します。嫁ターンの移住先が夫にとってゆかりのない土地の場合、夫にとってはIターン移住ということになりますね。
Jターンとは?
地元から都市部に出た人が、生まれ故郷までは戻らないが地元に近い地方都市に移住するケースです。故郷に近い風土の中で、都市の利便性と地元へのアクセスを兼ね備えた移住パターンといえます。
関連リンク:Uターン、Iターン、Jターンって?移住者に多い年齢層は?
嫁ターンのメリット

妻の地元に移住する嫁ターンは、一見すると妻の利便性を優先するように思えますが、夫や子どもにとっても以下のようなメリットがあります。
妻が暮らしやすく、メンタルが安定
なじんだ土地での生活、家族や昔からの友人との交流は、妻のメンタルを安定させてくれるでしょう。妻がリラックスして朗らかさを保ってくれることは、家庭円満にとても大事な要素です。
嫁ターンは育児しやすい
妻の親が健在である場合、育児や家事で頼らせてもらうことができます。あてにしっぱなしはよくありませんが、産前産後のサポートや、いざという時に子どもの預け先があるだけで、安心感は段違いです。地方であれば、ゆったりとした住まいや豊かな自然の中で子育てができることも大きな魅力ですね。
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夫も自由になれる
妻がストレスを溜めずに過ごせると家庭が穏やかに保たれるので、夫にとっても大きなメリットになります。妻のイライラが減って余裕ができたことで、夫も自身の趣味に打ち込みやすくなったという声も聞かれます。
夫も移住先になじみやすい
ゆかりのない土地への移住は、風土やならわしになじんだり人間関係を作ったりするのに、多かれ少なかれ負担を感じるものです。妻が勝手を知った土地であることで、そのハードルはぐっと下がります。地方移住を考える夫婦にとっては、妻を通じて夫も地域社会に溶け込みやすい点も、嫁ターンのメリットといえるでしょう。
嫁ターンのデメリット

夫婦双方にメリットが期待できる嫁ターンですが、もちろんいいことばかりというわけではありません。特に環境が大きく変わる夫にとっては、よく検討し納得した上でないと不満につながり、離婚に至るような事態もありえます。考えられるデメリットをしっかり把握する必要があります。
夫だけライフスタイルが一変
妻になじみのある土地といっても、家族にとっては新しい環境での生活になります。移住にともない多くの人は仕事を変えることになりますし、子どもの教育環境や医療体制なども一新されます。
妻が知っている町だからと油断せず、暮らしの情報や自治体の制度など、事前のリサーチは怠りなく行う必要があるでしょう。加えて、夫にとっては、人間関係やライフスタイルがそれまでと一変することになります。
移住後の生活をできるだけ具体的にイメージし、何が変わるか、自分にとってどのようなデメリットがあるか、心づもりしておきましょう。
妻にだけメリットがある?
夫にとっては、仕事探しや業務内容・収入の変化、人間関係など、慣れない土地での新しい生活になじむ苦労がかかります。
一方で、勝手知った地元で友人も近くにいるなど妻側の利点はどうしても目につきやすいため、自分ばかりが我慢しているという不公平感につながる恐れがあるでしょう。
夫だけ孤立するリスクがある
夫にとっては新しい土地で、初めのうち身近な知り合いは妻の家族・親族が中心になります。その人たちと関係がよくないと、夫はいわばアウェーの環境で孤立することになりかねません。
離婚原因のランキングで「家族親族と折り合いが悪い」という理由が、男性側は5位、女性側は10位という調査結果もあります。配偶者の家族・親族とうまくいかないことによる負担は、男性側の方が強いのかもしれません。
嫁ターンに失敗しないためのコツ

嫁ターンの失敗は、夫婦関係に深刻なダメージとなる危険があります。未知の環境に入っていくことになる夫の覚悟はもちろんですが、妻側も、夫に配慮し不安や問題をともに解消してゆくしっかりした覚悟が必要です。嫁ターンが家族にとってよい選択となるために、心がけておきたいポイントを紹介します。
夫の転職への不安を軽減させる
転職は引越しと並んで大きな環境変化です。夫にとってはなじみのない土地に移住したことで多かれ少なかれストレスがかかる中、仕事の不安まで抱えるのは避けたいところですね。地元へのUターンということで比較的余裕があると思われる妻が、夫に寄り添ってサポートする姿勢が大事です。
例えば夫の転職活動のメンタル面のサポート、スケジュール管理のお手伝いなど、必要に応じて夫を支える方法はいろいろとあります。移住を実行に移す前に、仕事面での問題や懸念点をできるだけ解消できるように夫婦で協力しましょう。
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夫も移住先の人間関係を作っておく
妻を通じての人間関係だけでなく、夫自身の人間関係を早期に構築することで、アウェー感は軽減するでしょう。例えば、本格移住前に移住予定地を何度か訪れ、あらかじめ現地の人とつながりを作っておくのも有効です。
夫に移住先を好きになってもらう
嫁ターン先のことを知るためには、地元に詳しい妻から町のいいところを夫にプレゼンするのもひとつの方法です。地元の人間だからこそ知るディープな魅力や町の何気ない雰囲気などを事前に知れるのは、通常のIターン移住にはない利点ですね。
ただ、地元愛が高じて強引な説得や押しつけにならないように注意が必要です。嫁ターンが夫自身にとっても生活を充実させられる手段であると、夫婦双方が心から納得した上で移住計画を進めたいところです。
夫が決断するまで待つ
十分な決心のないまま勢いで嫁ターンをしてしまうと、妻に引っ張られて移住をしたという感覚が後になってしこりとなって表れるかもしれません。妻としては早く地元に戻りたい気持ちがあったとしても、夫が自発的にそこに住みたいという気持ちが出てくるのを待つ姿勢も必要です。
まとめ

妻のなじみのある土地で親の育児サポートなども期待できる嫁ターン。妻のみならず、家庭に余裕ができることで夫もメリットを享受できる、注目の移住パターンです。
とはいえ、嫁ターンを成功させるには、夫婦とも相応の覚悟が必要になるでしょう。初めはアウェー環境に身を置くことになる夫に対して、妻は十分な配慮と実際的なサポートが欠かせません。
夫自身も、情報収集や事前準備を怠らず、人間関係を積極的に作っていく能動的な姿勢が求められます。後悔のないようにリサーチと検討を入念に行い、双方が納得して最適なライフスタイルを選択できるとよいですね。