田舎でのスローライフの現実

田舎でのスローライフの現実

田舎暮らしはゆったり過ごせるイメージがありますが、現実はどうでしょうか。実は意外と制約が多かったり忙しかったりと、スローライフのイメージ通りにはいかない側面が見られます。

田舎でのスローライフはローカルルールが多い

都心とは異なり、田舎地域には独特のローカルルールがありがちです。
例えば、都会のマンション暮らしではゴミ出しにそれほど気を遣わなくても済んだり、共有部分の清掃を気にかけないでよかったりすることが多いでしょう。
しかし田舎では、ゴミ出しのルールが厳密に決まっていることが少なくありません。町内会の草刈りや清掃活動のように、地域コミュニティの一員として担わなくてはいけない仕事が頻繁に発生する場合もあります。

そのほか、田舎に移住した人からしばしば戸惑いの声が聞かれるのが、明文化されていない慣習の類いです。
例えば、冠婚葬祭には地域の独自色が出やすく、負担の重さや不合理なように思える習わしに悩まされる人もいるでしょう。
また地域班や婦人会、消防団といった団体活動が、半ば強制参加であるような地域も未だに少なくありません。なかには交通ルールや不動産取引など生活に大きく関わる部分にいたるまでローカルルールが存在する場合もあり、トラブルの元となるようなケースもあるようです。

田舎のスローライフでも仕事が忙しい場合も多い

田舎暮らしでは仕事ものんびりしていて余暇が多いイメージがないでしょうか。しかし実際のところ、田舎だからといって一概にそうとは言えないようです。

まず、田舎ならではの働き方として農業に就く場合を考えてみましょう。規模や作物によっても異なりますが、季節や天候などに強く縛られる仕事です。
特に繁忙期の忙しさは、日の出から日没まで働き詰めということも珍しくありません。
毎朝早くからの作業は、生活リズムを規則正しく整えられるという大きなメリットがあるものの、慣れないうちは楽なことではないでしょう。

次に、会社勤めではどうでしょうか。
都市部ほどの仕事量がないためゆとりのある職場もあれば、田舎ならではの人手不足から1人あたりの業務が多くなってしまうケースも見られます。それでいて都会と比べて賃金が少ないとなれば、スローライフとはほど遠い気持ちになってしまいますね。
一方で、大都市と比べると通勤時間が短くなるケースも多く、余暇を楽しみやすくなったという経験談もあります。

そのほか、田舎への移住で有力な選択肢となる働き方が、リモートワークやフリーランスとして自宅で働く、あるいは飲食店などを開業することです。
これらは、忙しさをある程度自分の裁量で決められるケースも多いでしょう。自宅での仕事であれば、通勤の必要がないことや隙間時間に家にいられることから、家族との時間を持ちやすくなったという声もあります。

田舎でのスローライフも時間は気にしなければならない

スローライフを実現できれば、時間に追われず自分のペースで過ごせるという期待が高まりますね。ですが、田舎のスローライフと言えども、時間にまったく無頓着というわけにはいきません。田舎に移住した人からは、田舎暮らしのほうがむしろ忙しいという感想が出ることもあるほどです。

田舎の忙しさのひとつに、生活環境を維持するために必要な作業があります。
代表的なものとしては、雪国の冬の雪かき作業がイメージしやすいでしょう。ひどい時には朝から晩まで1日中雪かきに追われることも決して大袈裟ではありません。
また、田舎では大きな戸建てを持つことも夢ではありませんが、広いほど家の掃除や手入れにも手間がかかります。庭や家の周囲の草刈りや害虫対策なども欠かすことのできない重労働です。

暮らしの利便性に関わる時間的制約としては、お店の営業時間も挙げられるでしょう。田舎の傾向として、飲食店や物販店が少なく閉店時間が早いことが多いため、買い物は時間を気にして計画的に済ませる必要があります。
公共交通機関の少なさも、自家用車以外の外出のスケジュールを縛る要素です。

また、田舎暮らしを充実させる活動には時間がかかるものが多いことも知っておいたほうがよいでしょう。例えば、家庭菜園での自給自足を夢見る人も多いですが、作物を育てるのは思いのほか手間と時間をとられるものです。さらに梅干しづくりや栗の処理、味噌の仕込みなど、季節の手仕事にしっかり取り組もうとすると、なかなかに忙しいと感じるかもしれません。
とは言っても、こうした活動は忙しくも豊かな時間に感じられることでしょう。

田舎でのスローライフは厳しい?

田舎でのスローライフは厳しい?

田舎での暮らしは、必ずしも悠々自適なばかりではないことがわかりました。実際のところ、田舎でのスローライフは厳しいものなのでしょうか。

想像を超える不便さであれば楽しいスローライフではなくなる

田舎暮らしには多かれ少なかれ不便がつきものです。移住を考える人はある程度想定はしているでしょうが、その度合いが事前の想像を超えるほどだったとしたら、大きなストレスになってしまいます。

田舎の不便な点としてよく挙げられるのは、例えば各種公共機関が充実していないことです。
都会と比べて電車やバスといった交通機関の便数が大幅に少ないことは、実体験で知っている人も多いのではないでしょうか。
商業施設や飲食店の少なさについても、不満に思う声は多いようです。さらに、医療機関の数や専門医不足は将来的な不安にもつながります。

ほかにも、地域によりますが、土砂災害や水害といった自然災害のリスクと隣り合わせの地域もあり、普段の備えやもしものときの対処が大きな負担になる場合もあります。
また、仕事や買い物はインターネットを介して便利に行えるようになってきましたが、地域によってはネット環境が不十分だったり、配送に時間がかかったりすることもあります。

こうした不便さが、田舎暮らしで得られる魅力よりも上回ってしまえば、スローライフどころではなくなってしまうのではないでしょうか。

田舎暮らしの不便な点や注意したいことは、こちらの記事でも詳しく紹介しています。https://ijyu-sien.com/p/country-life-is-inconvenient-here/

地域の人たちとの交流が盛んだとイメージのスローライフとは異なる

田舎暮らしにおける不満や懸念点として、地域の人間関係もよく挙げられます。小さな田舎では地域のすべての住民が顔見知りということも珍しくありませんし、そうしたコミュニティでは交流は密になりがちです。

ほどよく希薄な都会的な人間関係に慣れている人は、田舎特有の距離感や求められる振る舞いに戸惑うこともあるかもしれません。
なかには、外出や来客など自分の生活が近所に筒抜けだったり、地域の集まりや当番が強制だったりと、人間関係に強いストレスを感じるという人もいます。特に、必要以上に他人と関わらず静かに過ごすスローライフをイメージしていた場合、交流が盛んな地域では希望した暮らしとは少しずれてしまうでしょう。

しかし近隣の人間関係は、生活上の都合や地域の安全に関わる側面もあり、ないがしろにはできないものです。必要な事柄には住民の一員として適切に関わっていけるとよいですね。
もちろん、現地の人たちと積極的に交流していきたい移住者にとっては、温かみあるご近所づきあいや地域行事への参加などは大きな魅力になるでしょう。

田舎でスローライフをする際に必要な資金

田舎でスローライフをする際に必要な資金

田舎でのスローライフは、生活コストを抑えられるイメージがあります。しかし、田舎暮らしとはいえ移住にはある程度資金が必要になります。具体的に見ていきましょう。

引っ越し代金

移住に際し、必ずかかるのが引越し代金です。金額は積荷の量や輸送距離はもちろん、時期や曜日によっても大きく変わります。安くても数万円から、高ければ数十万に膨らむこともあるでしょう。
また旧居から遠く離れた地域への移住の場合は、自分達の移動費用もかかります。

コストを抑えるには、余裕をもって計画を立て安い日を選ぶ、じっくり見積もりを取るなど、計画的に引越しを進めたいところです。家具などが少なめで距離もあまり遠くない場合は、トラックを借りて自分達で家財を運ぶことも選択肢に入るかもしれませんね。

現地の家や車などの購入費

移住費用のなかでも大きな出費となることが多いのが住居費です。賃貸住宅に住む場合でも、手数料や敷金など初期費用はまとまった金額になることが珍しくありません。
とはいえ傾向としては、田舎の住居費は都会よりかなり安いことが多いでしょう。くわえて、後述するように空き家バンクを利用して格安の物件を探す、自治体の補助金を申請するなど、住宅費用を抑える手立てもあります。

注意点として、格安の中古物件は大がかりな修繕が必要になるケースも少なくありません。DIYで費用を抑えられる部分もありますが、水回りや電気設備の工事など、自分たちではできない工事もあります。住宅は購入費だけでなく、リフォームなども予算に入れることを忘れないようにしましょう。

また、田舎暮らしには自家用車が必須であることがほとんどです。これまで車を持っていなかった世帯や所有台数を増やす場合には、車の購入費用が新たにかかることになります。

現地での生活費

当然ながら、移住してからの暮らしにも日々生活費が発生します。地方では低コストで生活できると思いがちですが、物価に関して言うと、都会と比べて意外と安くなかったり、日用品などは却って高めだったりというケースもあります。
食品については、地元の農産物などは安く手に入る場合が多いようです。さらに家庭菜園や近隣からのおすそ分けなどは、田舎暮らしの醍醐味かもしれませんね。

また、月々の水道光熱費も忘れず意識しておきたいところです。都市ガスの地域からプロパンガスの地域に引っ越し、ガス代の請求が高額であることにびっくりしたという経験談もあります。水道料金も自治体によってかなり差があるため、住む地域によっては大幅に出費が増えることもあります。さらに、寒冷地では冬場の暖房費用がかさみがちです。

このほか、多くの田舎では、車を日常的に利用するためガソリン代がかかります。車を維持するための自動車保険や自動車税、メンテナンス費用もそれなりの金額になるでしょう。また子どものいる家庭では、通学や通塾先が遠い場合は交通費が発生します。

田舎暮らしの生活費については、こちらの記事でも解説しています。https://ijyu-sien.com/p/country-living-cost-breakdown/

田舎でスローライフをするなら移住支援制度を利用しよう!

田舎でスローライフをするなら移住支援制度を利用しよう!

ここまで述べてきたように、田舎への移住でスローライフを叶えるには、事前の情報収集や計画・準備、そして少なからず費用が必要になってきます。こうした移住計画をスムーズに進める方法のひとつが、各自治体が設けている移住支援制度です。

制度を活用することで、移住に関する情報・サポート、また移住やその後の暮らしに関するさまざまな補助金を受けられます。支援内容は自治体によって異なるため、移住先候補の自治体に問い合わせてみてください。ここでは一般的なものをいくつか紹介します。

移住準備・お試し暮らしのサポート

移住先で理想的なスローライフが実現できそうかを知るには、入念な下調べや現地訪問が欠かせません。できればある程度の期間、現地で実際に移住生活を体験してみることが理想的です。

そこで利用したいのが、各自治体が設けている移住相談窓口です。移住候補地が絞れてきたら、まず該当する自治体の移住相談窓口に相談することをおすすめします。情報提供だけでなく、積極的に移住支援を行う自治体も増えており、総合的なサポートが受けられます。

自治体によっては、移住体験ツアーやお試し暮らし住宅など、現地での生活を体験する機会もあります。自分で宿などを手配する場合に比べ、ごく低コストで移住体験ができるため、ぜひ活用したいところです。また、移住準備のための訪問について交通費や宿泊費などの補助金を支給する自治体もあるため、前もって相談しておいて損はありません。

住宅取得に関する補助

多くの自治体で、移住者の住宅購入や住宅修繕について補助金が出る制度が設けられています。特に、若い世代や子育て世帯は補助の対象となる場合が多いでしょう。賃貸住宅に関しても費用補助が出る自治体や、相場に比べて費用の安い移住定住促進住宅を設けている自治体もあります。

空き家バンク

地方では空き家問題が深刻であることから、自治体が空き家情報を募集し希望者に情報提供する空き家バンク事業は広く行き渡っています。かなりの格安物件が掲載されていることもあり、とにかく住宅費用を抑えたい、またはあえて古民家に住みたいという場合には有力な選択肢です。

ただし、安いからといって軽い気持ちで契約しては、想定外の出費や不具合に後で悩まされる可能性があります。掲載情報では詳細がわからない場合も多いため、現地での確認は必須と言えるでしょう。
例えば無人になって長い期間が経った古民家などでは、傷みが激しく入居前に大規模な修繕が必要な場合もあります。修繕の費用や期間もしっかり見積もることが大事です。

まとめ

まとめ

田舎に住んだからといって、自動的に気ままなスローライフが実現できるわけではありません。時間や環境に縛られる要素が意外と多く、思ったよりも自分のペースで生活できないと感じる可能性もあります。

理想のスローライフを叶えるには、旅行者ではなく住民として暮らした場合のシミュレーションをしっかり立てておきたいところです。イメージだけで先走らず、田舎暮らしの現実を知っておくことで、移住地選びや必要な準備、心構えに役立つでしょう。費用面についても、田舎暮らし特有の出費なども考慮して計画しておく必要があります。

さまざまな懸念点はありますが、田舎暮らしで得られる自然の豊かさや開放感は、スローライフにはぴったりの代えがたい環境です。自治体の移住支援制度もうまく活用し、憧れのスローライフに向けて計画を進めてみてはいかがでしょうか。