田舎暮らしを始める若者が増えている訳

田舎暮らしを始める若者が増えている訳

田舎エリアは、都市部からの移住者が後を絶たない地域です。そんな中でも、近年は特に若者世代の移住者が増加傾向にあります。以下は、若者が田舎暮らしを始める主な理由となっています。

・都会の雇用形態に不満を持つ若者の増加
・煩わしい人間関係からの解放を求めて
・結婚や退職を機に田舎暮らしを始める若者も

「都市部でのストレスフルな生活に疲れた」「もっと自由に生きられる田舎で暮らしたい」といった理由から、田舎暮らしを選ぶ若者世代が多くなっています。また、結婚や退職といった人生のターニングポイントが多い年代である点も、田舎への移住を視野に入れる層が増えている要因です。
各項目は、以下で詳しく説明していきます。

都会の雇用形態に不満を持つ若者の増加

若者世代が田舎暮らしを始める理由に、都市部の雇用形態に関する不満が挙げられます。
厚生労働省の調査によると、2021年における日本国内の非正規雇用率は36.7%です。その中で、正社員として働きたいにもかかわらず非正規雇用となっている不本意非正規雇用は、10.7%にも及びます。

人口の絶対数が多い都市部は、非正規雇用者の割合も高めです。逆に非正規雇用者率が低い都道府県には、徳島県、長崎県、秋田県、福島県、大分県をはじめとする地方エリアが多くなっています。
非正規雇用は、収入が不安定、手当てがない、福利厚生の充実度が低いといったデメリットの多い雇用形態です。そのため、「このまま非正規雇用者でいても将来性がない」「田舎に移住して正規雇用として働きたい」と考える若者世代が増加しています。

煩わしい人間関係からの解放を求めて

若者世代が田舎暮らしを選ぶ理由のひとつが、複雑な人間関係のリセットです。
都市部は、田舎エリアよりも個人の競争意識が強い傾向にあります。攻撃的な態度を取られる、人間関係のトラブルに巻き込まれるといった事態に陥りやすく、ストレスが溜まりやすい環境となっています。

特に若者世代は、まだまだ働き盛りの年代です。出世や昇進を機に人間関係が複雑化することも多く、心が休まる暇がありません。精神的な疲労が溜まりやすいことから、「都市部を離れて穏やかな人間関係の中で生きたい」「田舎に移住して人間関係をゼロからやり直したい」と感じる若者世代が多くなっています。

結婚や退職を機に田舎暮らしを始める若者も

人生の節目に合わせて田舎移住する層が多いことから、若者世代の移住者が増加傾向にあります。結婚や退職は、人生の大きなターニングポイントです。将来自分がどんな人生を歩みたいのか真剣に考える機会になるため、人生の節目が多い若者世代の移住増加率が高まっています。

都会育ちの若者でも田舎暮らしは可能?

都会育ちの若者でも田舎暮らしは可能?

都市部から離れてスローライフを実現したいと考える若者が増える一方で、「田舎に住んだことがなくてもちゃんとやっていけるだろうか?」「自分に田舎暮らしが合っているか自信がない」といった不安や悩みを抱えている層も多くなっています。都市部でしか暮らしたことがない方は、田舎暮らしをするにあたって以下の点に注意しましょう。

・移住先でも通用する専門スキルがないと厳しい
・移住先のコミュニティに入っていく社交性は必須
・情報や娯楽が少ない生活に耐えられるか

田舎に移住したからといって、無条件で快適な生活が待っているわけではありません。自分自身が適応するための努力をすることにより、田舎暮らしをより良いものにすることができます。それでは、各ポイントについて詳しく見ていきましょう。

移住先でも通用する専門スキルがないと厳しい

専門スキルの有無は、若者が田舎暮らしに適応できるか否かを左右する大きな要因です。
田舎エリアは、都市部と比べて雇用先や業種が限られています。そのため、移住先で需要の高い専門スキルを持っていない場合、仕事を見つけるのが難しい傾向にあります。

移住後の就職先をスムーズに見つけることは、経済的に安定した田舎暮らしを送る上で必要不可欠です。「特に何の資格もスキルも持っていない」「自分のスキルは都市部でしか使えない」という方は、事前に田舎エリアでニーズの高いスキルを手に入れるなどの対策を検討しましょう。

移住先のコミュニティに入っていく社交性は必須

若者が田舎エリアで暮らす場合、現地住民との地域交流に力を入れる必要があります。
小さな田舎のコミュニティでは、住民同士の人間関係が濃厚です。地域交流は田舎暮らしで生き抜くための必須条件だということを理解し、積極的に参加することが大切です。

しかし、人口の過疎化が進む田舎エリアは、少子高齢化が深刻な傾向にあります。若者世代が極端に少ない自治体も多く、「同年代が周辺に全くいなくて寂しい」「高齢者しかいなくて話が合わない」といった事態に陥りやすくなっています。

高齢世代が中心の田舎コミュニティで上手くやっていくためには、自らが上手く適応していかなければなりません。社交的かつ謙虚な態度で地域住民と交流し、移住先に溶け込んでいく努力と工夫を凝らしましょう。

情報や娯楽が少ない生活に耐えられるか

田舎暮らしをスタートさせる前に、限られた情報や娯楽の中で生活できるかという点について考えましょう。
都市部とは全く異なる環境でストレスフリーな生活を送れるというイメージが強い田舎暮らしですが、都市部のように物が充実していないというデメリットも兼ね備えています。
人口密度が低い田舎エリアには、生活する上で必要最低限の物しかありません。インターネット以外の若者向け情報ツールがなく、娯楽施設が市町村内にひとつもないという自治体も多数存在しています。
都市部とは180度真逆の隔絶された環境に身を置くことになるため、「休みの日に遊びに行く場所がなくて退屈」「暇を持て余していて逆にストレスが溜まる」といった状況に陥る可能性も視野に入れておく必要があります。

若者が田舎暮らしを成功させる5つのポイント

若者が田舎暮らしを成功させる5つのポイント

田舎暮らしを始めるにあたって、「どうしたら充実度の高い移住生活を実現できるか?」「長くその地で定住するために何をしておくべきか?」を意識することはとても大切です。せっかく田舎移住を決行しても、失敗に終わってしまっては意味がありません。
田舎暮らしを成功させたい若者は、以下の5つのポイントを押さえておきましょう。

① 移住前に家族とよく話し合う
②目的に合った移住先を選ぶ
③まずは二地域居住で移住生活に慣れる
④地域おこし協力隊に参加してみる
⑤地方自治体の支援制度を活用する

事前準備を徹底することはもちろん、段階的に移住生活に慣れていくことも大切です。また、地域貢献を通して地元住民と交流を図ったり、移住支援制度を活用して経済的に暮らせる工夫を凝らしたりすることも忘れないようにしましょう。では、各項目について解説していきます。

①移住前に家族とよく話し合う

田舎暮らしを成功させるためにも、移住前の家族会議を徹底するよう心掛けましょう。
田舎への移住は、ライフスタイルを大きく変える出来事です。若者世代や子どもがいる世帯の場合、移住に伴って転職、転校、引っ越しといったさまざまな変化が起こります。

誰か1人でも田舎移住に不満を持つ家族がいる場合、移住生活を楽しむことは困難です。家族全員が納得した上で移住を決行するためにも、移住前に家族でしっかりと話し合って意見交換を行いましょう。

②目的に合った移住先を選ぶ

若者世代が田舎暮らしを成功させる上で大切なことは、目的を果たせる移住先を選ぶことです。
実際に田舎へ移住する前に、自分がなぜ田舎暮らしをしたいのかという本質を突き詰めてみましょう。「山の近くに住んで四季折々の植物を楽しみたい」「現地生産の食材を使って低価格で美味しい食生活を実現したい」「週末は子どもと一緒に川遊びをして感受性を育てたい」など、田舎暮らしをしたい理由はさまざまです。

一口に田舎暮らしと言っても、エリアによってできることは大きく異なります。
山や川がない自治体に移住した場合、山の近くに住む、川遊びをするといった目的を果たすことはできません。また、工業都市として発達しているエリアや地方都市では、第一次産業が盛んでない傾向にあります。地元産の食材が豊富でないケースも多々あるので、自分の目的を果たせる移住先を選ぶことが成功の秘訣です。

③まずは二地域居住で移住生活に慣れる

初めて田舎暮らしをする場合は、二地域居住からスタートさせるのがおすすめです。
二地域居住とは、都市部と田舎エリアの2か所に住居を持つ生活のことです。平日は都市部で仕事や学校、週末は田舎エリアで休日を楽しむといったライフスタイルを叶えられるので、都市部での生活を確保したまま田舎暮らしを体験できます。
若者世代にとって、田舎への移住はリスクも伴うイベントです。移住するにあたって仕事を辞める必要があるため、田舎暮らしに失敗した場合の代償が大きいという特徴があります。

田舎移住のリスクを最小限に抑えるためにも、若者世代は二地域居住で段階的な移住生活を始めましょう。実際に毎週末を田舎エリアで過ごすことにより、自分と田舎暮らしの相性をチェックすることができます。
田舎暮らしのメリットやデメリットを把握してから本格的に移住できるので、失敗を未然に防ぐことに繋がります。

④地域おこし協力隊に参加してみる

地域おこし協力隊に参加することで、田舎移住の成功率を高めることができます。
地域おこし協力隊の主な目的は、人口の過疎化が深刻な地域のPR活動です。都市部からの移住者であることが参加の条件となっており、任期は1~3年です。
自治体の非常勤職員として働くことから、任期中は収入源を確保できるというメリットがあります。

また、地域おこし協力隊の活動を通して、移住先の魅力や特色を再確認できる点もポイントです。地元住民との交流も多くなるため、いち早く移住先の環境に馴染むことができます。

⑤地方自治体の支援制度を活用する

田舎暮らしを成功させたい方は、移住支援制度を活用するのがおすすめです。
都市部から遠く離れた田舎エリアの自治体は、移住定住促進のために多彩な移住支援を行っています。支援金や補助金の支給に関連するものも多く、活用することで経済的負担を軽減しながら田舎暮らしを楽しめます。
若者世代が田舎暮らしをする場合、高齢世代よりも移住支援制度が充実しているのが一般的です。

若者の移住定住に力を入れている自治体では、移住者の年齢が受給条件に含まれています。主な年齢の記載方法は、「移住者の年齢が〇歳未満」や「夫婦の年齢が合計〇歳以下」などです。
若者世代であるというメリットを最大限に活用できるので、お得に田舎暮らしを始めることができます。自治体のサポートを受けながら快適な田舎暮らしをしたい方は、若者世代に優しい自治体をピックアップしてみてはいかがでしょう?

2022年版!若者が住みたい田舎第1位を人口別にご紹介

2022年版!若者が住みたい田舎第1位を人口別にご紹介

田舎暮らしを始めるにあたって、移住先を決める必要があります。ここでは、若者が住みたい田舎第1位にランクインした以下の自治体を人口別に解説していきます。

・北海道沼田町(人口1万人未満)
・大分県豊後高田市(人口1万人以上〜3万人未満)
・島根県雲南市(人口3万人以上〜5万人未満)
・愛媛県西条市(人口5万人以上〜20万人未満)
・静岡県静岡市(人口20万人以上)

憧れの田舎暮らしを現実のものにする場合、自分の理想を叶えやすい規模の自治体を選ぶことが大切です。各自治体の特徴や人気の理由を交えながらお話ししていくので、自分にとって暮らしやすいサイズ感の移住先について考えてみましょう。

【北海道沼田町】(人口1万人未満)

北海道沼田町

人口1万人未満の自治体で第1位を獲得したのは、北海道沼田町です。北海道の中央部に位置しており、河川と湖沼のある長閑なエリアです。
ホタルが生息する自然豊かな環境が特徴となっており、大自然に囲まれながらオートキャンプやスキーを満喫できます。また、子育て交流広場、ファミリーサポートセンター、認定こども園、子育てサロン事業をはじめとする子育て支援が充実していることから、子どもがいる若者世代にとって住み心地の良い移住先です。

尚、沼田町から札幌市までの所要時間は、約1時間半となっています。旭川市までは1時間弱で、都市部2か所へのアクセスがしやすい点がポイントです。通勤や通学の範囲を大きく広げることができるので、「人口の少ない田舎って仕事もすごく少なそう」「田舎暮らしをしたいけど、教育機会が極端に少ないのは困る」という方でも安心です。

【大分県豊後高田市】(人口1万人以上〜3万人未満)

大分県豊後高田市

大分県豊後高田市は、人口1万人以上〜3万人未満の自治体の第1位です。大分県の北部に位置しており、文化財や遺跡が多いという特徴があります。
重要文化財の「長安寺」「熊野磨崖仏」「富貴寺」などがあるほか、無形民俗文化財に指定されている「ホーランエンヤ」や「修正鬼会」といった祭りも開催されています。日本文化が根付いたエリアとなっているので、「趣を感じられる地域で田舎暮らしを楽しみたい」「祭りの準備を通して現地のコミュニティに溶け込みたい」と考えている若者世代におすすめです。

また、豊後高田市は、ショッピングセンターの「イオンタウン豊後高田」やレトロな雰囲気が印象的な「豊後高田 昭和の町 中央通り商店街」がある点もポイントです。日常の買い物に便利な環境が整っているため、田舎暮らし初心者でも安心です。尚、大分市から豊後高田市までは、車で約1時間の所要時間となっています。

【島根県雲南市】(人口3万人以上〜5万人未満)

島根県雲南市

人口3万人以上〜5万人未満の自治体・第1位は、島根県雲南市です。
日本の滝百選の「龍頭八重滝」や日本さくら名所100選の「斐伊川堤防桜並木」がある自治体で、美しい自然景観を堪能できるというメリットがあります。また、「出雲湯村温泉」や「海潮温泉」などもあり、自然の豊かさを活かしたお出かけスポットが多い点も魅力です。県庁所在地の松江市から雲南市までは、車で約35分の所要時間となっています。

都市部へ気軽にアクセスできる距離感なので、「田舎に移住してもショッピングや外食は定期的に楽しみたい」「娯楽施設が多い県庁所在地に近いエリアで田舎暮らしがしたい」という若者世代に最適です。尚、雲南市には、子育て世帯を対象とした移住支援制度が多いという特徴があります。住宅費購入や家賃に関する補助を受けられるので、子どもを持つ若者世代にとって暮らしやすい自治体です。

【愛媛県西条市】(人口5万人以上〜20万人未満)

愛媛県西条市

愛媛県西条市は、人口5万人以上〜20万人未満の自治体で1位を獲得しました。
愛媛県の東部に位置しており、「石鎚山」や「加茂川」がある自然の雄大さを感じられるエリアです。また、西条市は、工業地帯としての特色が強い自治体となっています。ビールメーカー、機械メーカー、造船会社、半導体メーカー、電力会社をはじめとするバリエーション豊富な業種の工場が設置されており、雇用機会が多いという特徴があります。

移住先で仕事を得られる可能性が高いので、「都市部に通勤するんじゃなくて移住先で仕事を見つけたい」「職場の近くに住んで通勤の時間を削減しながら田舎暮らしを楽しみたい」という若者世代におすすめです。尚、西条市から松山市へ移住する場合、所要時間は約1時間です。都市部までの距離感が程よい立地なので、利便性と田舎暮らしのバランスを取りやすいというメリットがあります。

【静岡県静岡市】(人口20万人以上)

静岡県静岡市

人口20万人以上の自治体で第1位を獲得したのは、静岡県の県庁所在地・静岡市です。
「間ノ岳」「塩見岳」「駿河湾」をはじめとする自然の多いエリアで、年間を通して温暖な気候となっています。静岡市は、文化施設や運動施設が豊富なことでも知られる自治体です。美術館、博物館、コンサートホール、体育館、多目的グラウンドなどが集まっており、若者世代にとって娯楽要素の多い移住先です。

また、「清水みなと祭り」「静岡マラソン」「静岡ホビーショー」をはじめとするイベントも多く開催されていることから、飽きることなく長期的に田舎暮らしを堪能することができます。静岡市は、交通の便が良い点もポイントです。JR東海や静岡鉄道をはじめとする公共交通機関のほか、高速道路や国道も充実しています。多方面へアクセスしやすいことから、通勤や休日のお出掛けにも適した移住先です

まとめ

まとめ

田舎暮らしは、若者世代の間で急速に人気を集めているライフスタイルです。都会の雇用形態に対する不満や人間関係の悩みを解決するため、人生の節目に合わせて田舎への移住を決める層が増えています。しかし、田舎暮らしを始めるにあたり、適応するための心構えを持たなければなりません。

移住先で需要の高い専門スキルを磨く、田舎エリアのコミュニティと積極的に関わっていく、情報や娯楽がない暮らしを受け入れるなど、都市部とは異なる生き方になることを理解しましょう。田舎暮らしの成功率を高めたい方は、移住前の準備、地域おこし協力隊への参加、支援制度の活用などを検討するのがおすすめです。
自分の人生をより豊かに彩るためにも、ポイントを押さえて田舎移住を実行してくださいね。