スローライフを感じる日本の映画

スローライフを感じる日本の映画

スローライフに憧れている方にとって、丁寧な暮らしぶりや、美味しいごはんが画面いっぱいに映し出される映像に癒される方が多いのではないでしょうか。また、そんな映画を見ることでスローライフの疑似体験をする方もいるでしょう。

ハッと驚くような展開ではなく、ただ毎日を丁寧に過ごす、のんびりとごはんを食べる、何気ない日常を映し出す映画は、忙しい現代人にとっても必要なエッセンスだと感じます。

ここではスローライフという言葉がぴったりな日本映画をご紹介します。おすすめの映画は下記の15本です。

  • リトル・フォレスト 夏・秋
  • 西の魔女が死んだ
  • 青葉家のテーブル
  • 人生フルーツ
  • 風の波紋
  • しあわせのパン
  • かもめ食堂
  • めがね
  • 海街diary
  • プール
  • 月とキャベツ
  • パンとスープと猫日和
  • レンタネコ
  • ジヌよさらば かむろば村へ
  • キツツキと雨

テーマやストーリーはもちろん異なりますが、日本の美しい風景、どこか懐かしい景色や場所、みずみずしい季節の食材など、見ていてほっこりする要素が満載の映画ばかりです。おやすみの日に、自身のスローライフの一環として、お好きなドリンクやお菓子を用意して鑑賞してみてくださいね。

リトル・フォレスト 夏・秋

2014年の夏に公開されたこちらの映画は、五十嵐大介さんの人気コミックを映画化した作品で、全4部作のロードムービーとなっています。
監督は映画「重力ピエロ」や、テレビドラマ「踊る大予告編 第二部」、またレミオロメンのミュージックビデオ「3月9日」などを撮影した森純一監督です。出演者は橋本愛さん、松岡茉優さん、温水洋一さんなど。

「リトル•フォレスト」は、東北の村を舞台に撮影されており、大自然の四季の移り変わりが鮮明に映し出されています。雨の音や、木々の揺れ動く音、鳥や虫たちの声など、まさに自分がそこにいるような感覚になります。町を離れ、生きるために自給自足の生活を余儀なくされた主人公いち子が、田舎暮らしを通して自分らしさや人生に向き合っていくというストーリーです。

作中には、数々の手料理が登場しますが、食材から手作りする様子や工程などのナレーションが入っており、学びの要素もあります。とっても美味しそうなごはんを見ていると、ついついお腹が減ってしまうかもしれません。ぜひ大好物のごはんを食べながらご覧ください。

西の魔女が死んだ

「西の魔女が死んだ」は梨木香歩さん原作の小説を、2008年に映画化したものです。
ある日学校に行けなくなった中学生の少女まいが、山奥のログハウスに住む祖母と暮らすお話です。”西の魔女”こと祖母の家で、魔女修行を行いながら、楽しく・自分らしく生きる力を身に付けていく姿を描いています。
原作の小説は子どもたちの読書感想文として取り上げられる作品でもあるため、映像化されることで、より分かりやすく、勇気づけられる作品となっています。

また、森の静かな環境で過ごす時間の使い方や、丁寧な暮らしぶりからは学ぶことがたくさん!ログハウスの前に作られたお庭も、ガーデニングなどに憧れている方にとってたまらない映像です。

青葉家のテーブル

2021年に公開された映画「青葉家のテーブル」は、数々のドラマやCM、ミュージックビデオを手がける松本壮史監督の作品です。
企画・制作が「北欧、暮らしの道具店」なので、作中に登場する家具や雑貨を見ているだけでもワクワクするでしょう。出演者は西田尚美さん、市川実和子さん、忍成修吾さんなどです。

シングルマザーの春子と息子のリクが暮らす家には、春子の飲み友達であるめいことその彼氏ソラオも暮らしています。さらにある夏の日に春子の旧友の娘・優子が居候しに訪れましたが、その旧友と春子の間には、気まずい過去が…。

出演者ひとりひとりの悩みや不安に共感するシーンがきっと多くあるでしょう。美味しそうなごはんと、良い音楽にも癒される作品です。青葉家のテーブルについて口コミを見ていると「自分自身に向き合える良い映画」「やる気があればなんでもできると考えられるようになった」といった前向きな声が目立っていました。

人生フルーツ

「人生フルーツ」は、建築家夫婦のドキュメンタリー映画です。
87歳と90歳の夫婦の丁寧な暮らしぶりや、みどり・人・ものを大切にして、こつこつと真面目に生きるふたりの姿を映し出しています。チャーミングなおふたりと、お互いを思いやる姿に心が温かくなることまちがいなし。

ナレーションに迎えた樹木希林さんの声もまた心地よいです。癒され、学びたいときにぜひ見ていただきたい作品。とくに忙しなく毎日を過ごしている方におすすめです。見終わったあとは、一瞬立ち止まって、人生の豊かさや、自分の生き方について考え直すきっかけを得られるでしょう。

風の波紋

2016年に公開された「風の波紋」の舞台は、新潟県にある越後妻有(えちごつまり)の里山です。雪深いまちに移り住んだ人々の姿を追ったドキュメンタリー映画で、厳しい寒さである雪国の生活や、大きな地震で崩壊した家を建てなおす様子を映し出しています。

リアルな人々の姿や、何気ない田舎の日常がとても愛おしく、毎日を大切に過ごさなければと考え直させてくれる作品です。雪国への移住を検討している方にとっても参考になるでしょう。自然の恵み、動物たちの鳴き声など、田舎暮らしの素晴らしさも伝わってきます。

しあわせのパン

北海道の月浦を舞台にした映画「しあわせのパン」は、北海道出身の大泉洋さんと透明感あふれる原田知世さんが夫婦役で出演しています。美しい自然と雄大な風景がところどころに映し出されており、見ているだけで優しい気持ちになれる作品です。

ストーリーは、東京から北海道に移住した夫婦が「マーニ」というパン屋をはじめたお話です。北海道から出られない青年や地獄耳のガラス作家、口をきかない少女とその父親、観察好きの羊などなど、個性あふれる人々の来店を通して大事なものに気付いていく様子が描かれています。

矢野顕子さんと忌野清志郎さんの楽曲「ひとつだけ」も胸にささります。「好きな暮らしがしたいと思った。好きな場所で、好きな人と」この言葉は、都会暮らしに疲れて移住をしたいと思っている方にとって深く共感できるのではないでしょうか。

ぜひ大切な人と鑑賞してくださいね。

プール

2009年に公開された映画「プール」。小林聡美さん、加瀬亮さん、もたいまさこさんなど個性派俳優さんが出演しています。

突然、日本の家族から離れタイのゲストハウスで働き出した母・京子を訪ねてきた娘のさよと、そこで暮らす人たちとの物語です。

母親だけど「やりたいことをやる」という主人公の姿に、背中を押される母たちも多いのではないでしょうか。「理由なんて愛ひとつで十分だ」というテーマがやけに胸にささります。5人の出演者が自由に過ごす6日間、タイの広々とした空やゆったりとした日常は、スローライフの疑似体験にぴったりな作品です。

かもめ食堂

上記で紹介した「プール」同様、小林聡美さん、もたいまさこさん出演の「かもめ食堂」。さらに個性派俳優の片桐はいりさんを迎えた味のある作品です。
舞台はフィンランドの首都・ヘルシンキ。主人公のサチエがヘルシンキで小さな食堂「かもめ食堂」をオープンし、毎日真面目にコツコツと働くお話です。「あるようでない」「ないようである」出来事が淡々と繰り広げられます。ハッとするような展開はないけど、はじめからおわりまで心穏やかに鑑賞できる作品です。

かもめ食堂には、生きやすくなるヒントがたくさん隠されているような気がします。生活に疲れたとき、気付きを得たいときに見るのがおすすめです。

めがね

「かもめ食堂」のスタッフ・キャストが集結して作られた映画「めがね」。めがねは、海辺の小さな民宿で繰り広げられるヒューマンドラマです。携帯もつながらない場所で、マイペースな人々と暮らすことで、主人公が人生を見つめなおしていく姿を描いています。

まさにスローライフな日常を見ていると、こちらまでゆっくりとした時間を過ごしている感覚になるでしょう。海辺での風景、丁寧に作られたごはん、民宿にさしこむ光や、入り込む風すべてに癒されます。

1度見たあとも、何年後かにふと思い出して、民宿に暮らす人たちに会いたくなってしまう…そんな作品です

海街diary

「海街diary」は、吉田秋生さんによるベストセラー漫画が原作となっています。
日本アカデミー賞・最優秀作品賞のほか、最優秀監督賞、最優秀撮影賞、再優秀照明賞を受賞しています。さらに、この映画で新人俳優賞に輝いたのは今をときめく女優、広瀬すずさんです。また、監督は「誰も知らない」「そして父になる」など数々のヒット作を世に送り出している是枝裕和さんです。

このお話は3姉妹と異母妹が共同生活を送り、さまざまな出来事を通して家族の絆を深めていく話ですが、出演者が豪華なことでも知られています。長女役の綾瀬はるかさん、次女役の長澤まさみさん、三女には夏帆さん、そして異母妹役が広瀬すずさんです。

海辺のまち「鎌倉」が舞台となっており、昔ながらの古びた家で過ごす映像を見ていると、どこか懐かしい気持ちになることでしょう。4人が抱える複雑な思いや葛藤に自分と重なり合う部分があるかもしれません。美しい4人の女優さんと鎌倉の情景をぜひのんびりとお楽しみください。

月とキャベツ

ミュージシャン山崎まさよしさんの名曲「One more time one more chance」を世に知らしめたのがこちらの映画「月とキャベツ」です。

月とキャベツのあらすじを簡単に紹介します。
数々のヒット曲を出していた主人公の花火は、ある日突然曲がかけなくなったと、山奥の一軒家に逃げ込みます。静かに暮らしていた花火のもとに、ある日ひとりの少女が現れました。少女の名前は「火花」。火花にはある秘密がありました。純真無垢な火花との暮らしを通して、次第に音楽に向き合えるようになる花火。火花が抱える秘密とはなんなのか、ふたりの関係はどうなるのか…

クライマックスはぜひ映画をご覧ください。

主人公の花火は、タイトルにもある通り、裏庭でキャベツを育てています。映画の中でもキャベツの葉をパタパタと揺らしたり、軽快な音楽とともにキャベツ料理を作ったり…見ているだけで気持ちがリラックスするのが分かります。

花火の家の舞台となった群馬県の伊参スタジオは、廃校であった旧中之条町立第四中学校を改装した施設で、山々のみどりに囲まれた自然豊かな場所にあります。窓からの月明かりを映すシーンや、壊れかけの自転車で走るシーンなど、何気ない日常を映し出す映画に、スローライフを感じられるのではないでしょうか。若き日の山崎まさよしさんのかっこよさも必見です!

パンとスープと猫日和

群ようこさんの小説を映画化した「パンとスープと猫日和」。こちらの作品にも小林聡子さんが主演として出演しています。上記で紹介した「かもめ食堂」「めがね」「プール」のキャスト・スタッフが参加しているそう。

あらすじは、出版社で働いていた主人公のアキコが、母の死をきっかけにサンドイッチとスープだけのお店を開くストーリーです。さらにお店の前にあらわれたネコとの生活もあわせて描かれたほっこりするような映画。

見終わったら必ず「サンドイッチとスープ」が食べたくなるので、見るときには事前に用意しておくのがベストです!インテリア好きや、食べることに幸せを感じる人、さらに猫好きにはたまらない映画と言えるでしょう。

レンタネコ

「レンタネコ」は、萩上直子さんによる脚本・監督、市川実日子さん主演で、2012年に公開された作品です。

平屋の日本家屋でたくさんの猫と暮らすサヨコが主人公のお話です。
タイトル通り、さみしい人のもとに猫を貸し出すというレンタルネコ業を営んでいるサヨコ。そんなサヨコの生活と、レンタネコを利用する人々のストーリーを描いた作品です。流しそうめん、古びた扇風機、縁側、ビールなど、日本家屋での夏の暮らしや、愛くるしい猫さんたちにきっと癒されるでしょう。

ジヌよさらば かむろば村へ

ジヌ=銭!この映画は、“お金アレルギー”になってしまった銀行マンのお話です。
監督は、俳優でもあり劇作家でもあり、脚本家・演出家・コラムニストでもある松尾スズキさん。そして主演に松田龍平さんを迎えたコメディ映画です。阿部サダヲさんや二階堂ふみさん、西田敏行さんなど豪華なキャスト陣にも注目の集まった作品です。

お金に触れなくなってしまった主人公の高見は、お金を使わない生活をしようと東北の田舎に移住。世話焼きな村長、自身を神と称し、人望もあつい老人のほか、個性豊かな村人たちに主人公の高見が翻弄されるストーリーです。

人それぞれの生き方をコミカルに教えてくれるそんな作品。ゆったりのんびりだけじゃないスピード感のある映画が見たい方におすすめです。

キツツキと雨

キツツキと雨は、「南極料理人」や、2022年9月に公開され映画「さかなのこ」の監督をつとめた沖田修一さんの作品です。「キツツキと雨」は、主演に小栗旬さん、役所広司さんを迎え、音楽制作として星野源さんが参加しています。第24回東京国際映画祭で審査員特別賞を受賞しました。

木こりと映画監督が、なぜか一緒にゾンビ映画を撮影するというストーリーです。無骨な木こり、そして気が弱くスタッフをまとめられない監督が偶然出会い、互いに良い影響を与え合っていく様子が描かれています。

山奥で撮影されるゾンビ映画…クスっと笑えるシーンがたくさんあります。ゆったり鑑賞できる上に飽きずにテンポよく進んでいく作品です。星野源さんの歌「フィルム」がまた、この映画に良い味を加えています。

スローライフを感じる海外の映画

スローライフを感じる海外の映画

日本映画をたっぷりご紹介しましたが、ここからはスローライフを感じられる海外の映画についてご紹介します。

ピックアップした作品は下記の5本です。

  • ハッピー・オールド・イヤー
  • パターソン
  • ターシャ・テューダー 静かな水の物語
  • 恋人たちの食卓
  • ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方

それぞれ異なる国で撮影された5本の映画ですが、自然の素晴らしさや、人生を見つめなおす時間が大切ということは共通しているような気がします。

それでは1本ずつ詳しくご紹介していきます。

ハッピー・オールド・イヤー

ハッピー・オールド・イヤーは、2020年に上映されたタイの映画です。
主人公はデザイナーの仕事をしているジーン。ジーンは母親と兄と3人で暮らしています。ジーンは、スウェーデンに留学し、ミニマルなライフスタイルを学びました。帰国後、自宅をデザイン事務所にしようと、モノであふれた家の中の断捨離を決意。

しかし、断捨離を進める中で、想い出の多さに気付きます。「何を捨てて、何を取っておくのか…。人の気持ちは簡単に仕分けられない」というのがこの映画のテーマです。友達やかつての恋人からの贈り物などが出てくると、ついつい思い出に浸ってしまう…。「片付けるはずが、ただ散らかってしまった」誰もが片付けの場面で一度は通ったことのある道ではないでしょうか。

しかし、この作品はただの断捨離の話ではありません。ストーリーが進むにつれてどんどん奥深くなっていきます。ミニマリズムな暮らしと、雑多な暮らし、あなたはどちらを好みますか。

パターソン

「パターソン」は2016年に制作されたアメリカの映画です。スター・ウォーズの3部作でカイロ・レン役を演じたアダムドライバーが主演のこの作品。監督は、ジム・ジャームッシュです。

ニュージャージー州でバスの運転手として暮らす主人公パターソンの7日間を描いたお話です。愛する奥さんと愛犬のマービン、そしてパターソンが詠むポエムなど、どのシーンも愛にあふれており、絶妙な間のある語り口についつい引き込まれてしまいます。

平凡な日常なのにどこか特別感を感じられる、そして「今を大切にしよう」と心から思える作品です。この映画のラストには、日本人の詩人として俳優・永瀬正敏さんが登場します。ぜひ最後まで見てくださいね。

ターシャ・テューダー 静かな水の物語

アメリカで愛される絵本作家であり、世界中のガーデナーが憧れる庭を持つターシャ・テューダー。そんなターシャの10年を追ったドキュメンタリー映画がこちらの作品です。
「自然と寄り添い、必要なものは全部自分の手で作る、季節のイベントを大切にする」など、ターシャの生き方に共感する方が多くいます。

「忙しすぎて心が迷子になってない?」ターシャのこの言葉がやさしく胸に響きます。ちょっと立ち止まって自分自身と向き合いたいときにぴったりな映画です。

恋人たちの食卓

台湾が舞台のこの作品は、姉妹の物語を描いた「推手」「ウェディング・バンケット」に続く三部作の最終章です。アン・リー監督が描く、一流ホテルのシェフである父と、3姉妹の物語。食卓を囲んで、恋愛や食事、そして家族のさまざまな問題について語らう、ユーモラスな人間ドラマです。

冒頭の料理を作るシーンだけでも、見る価値のある作品ではないでしょうか。軽快な音楽と、それに合わせるように包丁で食材を刻む音、お湯が沸騰する音、鍋が重なる音…画面いっぱいにひろがる料理と湯気は、見ているだけでとってもワクワクします。豪華な中華料理の数々を見ていると、きっとおなかがすいてしまうでしょう。
約30年ほど前の作品ですが、良い映画は色褪せません。

ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方

カメラマンの夫と料理家である妻がオーガニック農場を作り上げるまでの8年間を追ったドキュメンタリー映画です。
ロサンゼルスのアパートに暮らしていた夫婦ですが、飼っている犬の鳴き声がうるさいと、ある日アパートを追い出されてしまいます。郊外の荒れ果てた農地へと移住した夫婦が、自然の厳しさと直面しながらも理想の農場を作り上げていくというお話です。

実はこの映画の監督は、この夫婦の夫であるジョン・チェスターさんです。映画制作やテレビ番組にも携わってきた彼が、自身の物語をカメラにおさめています。

植物、野生動物たちの命や、自然の壮大さをこの映画で目の当たりにするでしょう。田舎に移住して農業を始めたいと思っている方にもぜひ見てもらいたい作品です。ドローン撮影のほか、ハイスピードでの撮影など、技術を駆使した映像は息をのむほど美しく、世界各国で観客賞を受賞していることもうなずけます。

まとめ

まとめ

すこし疲れたとき、これからどうやって生きていけばいいのか迷ったとき、ぜひ紹介した20本の中から1本チョイスして見てみてください。丁寧な暮らしぶりや、穏やかな映像を見ているだけできっと心が癒されるはずですよ。