田舎暮らしを体験!1ヶ月だけ住むことは可能?

田舎エリアには、独特の環境や人間関係が見られます。特に都市部からの移住者にとっては、相性の良し悪しが大きい移住地だということを覚えておきましょう。「自分には田舎暮らしは合っていなかった」「思っていた環境と全然違って暮らしにくい」といった後悔を抱かなくて済むように、田舎暮らしを始める前の移住体験を行うことが重要です。
ここでは、移住体験が1か月間できるのかどうかについて説明していきます。
自治体によって1ヶ月間の移住体験ができる
移住体験は、1か月間行うことが可能です。
移住・定住者を募っている自治体では、さまざまな移住支援活動を実施しています。移住体験用のお試し住宅もそのひとつで、田舎エリアに行けば行くほど住宅や利用に関する条件が良いというのが一般的です。1か月間の移住体験がしたい場合は、各自治体の移住支援内容についてよく確認してみましょう。
都市部からの距離が遠い自治体は利便性が悪く、移住者が集まりにくい傾向にあります。移住希望者のために積極的な移住支援活動を行っているので、1ヶ月間やそれ以上の期間に対応した住宅を見つけることができます。
期間が選べるところもあるので1ヶ月のところを探す
田舎エリアでは、数多くの自治体が移住体験用のお試し住宅を提供しています。
しかし、全ての自治体が長期間の移住体験に対応しているわけではありません。1~2泊や1週間程度の移住体験しか想定していない自治体も多いため、選ぶ際は注意が必要です。
移住体験に力を入れている自治体の場合、お試し住宅の利用期間が豊富な傾向にあります。月単位での利用を対象としているケースもあり、最短1ヶ月から利用することが可能です。
尚、移住体験をする際は、各自治体のホームページをチェックするよう心掛けましょう。
お試し住宅の利用期間、料金、料金に含まれているもの、住環境、住宅情報などの詳細を確認できるので、自身の希望条件に合う住宅を見つけやすくなっています。また、農地付きや海が見えるといった田舎暮らしならではの情報も併せてチェックし、1ヶ月間を有効活用しましょう。
移住を考えている人が1ヶ月の移住体験がおすすめなわけ

以下は、1か月間の移住体験をすることで得られる3つのメリットです。
- 1ヶ月住めば移住先の環境が理解できる
- 自分はその土地の暮らしに合っているか判断できる
- 地域の人と住む前に交流ができる
1か月間の移住体験には、移住地のことを深く学べるという特徴があります。
実体験を基に暮らしやすさや自身との相性をチェックできるため、失敗の少ない田舎移住に繋がります。田舎暮らしを検討中の方は、3つのポイントについてしっかりとチェックしましょう。
それでは、各項目について解説していきます。
1ヶ月住めば移住先の環境が理解できる
1か月間の移住体験をするメリットに、移住地の環境を把握できるという点が挙げられます。
現地で実生活を送ることは、移住地の環境を知る上で最も有効な手段です。気候や住環境に関するリアルな情報を収集できるので、移住後の暮らしやすさを事前にチェックすることができます。
例えば、城下町としてかつて賑わっていた場所で田舎暮らしをする場合、趣深さや歴史を感じながら日常生活を送れるというメリットがあります。
しかし、道が狭いといったデメリットも兼ね備えており、一歩通行の道が多い、車がすれ違いにくいなどの暮らしにくさを感じがちです。
実際に1か月間住むことで、移住地の詳しい環境を認識することができます。ネットやガイドブックには載っていない生活に密着した情報を得られるので、田舎移住の失敗を未然に防げるという特徴があります。
自分はその土地の暮らしに合っているか判断できる
1か月間の移住体験をすることで、自身と移住地の相性を確認することができます。
移住地の暮らしやすさや住み心地は、ある程度の期間生活してみなければ分かりません。人間関係、生活の利便性、ライフスタイル、交通の便といった幅広いポイントをチェックするためにも、1か月間の移住体験に挑戦しましょう。
長期間の現地生活を送ることで、日帰り訪問や短期の移住体験では分からなかった深い部分まで知ることができます。
移住地のメリットとデメリットについて理解することは、自身との相性を図る上で非常に重要です。特にデメリットに関しては、田舎暮らしが成功するか否かを左右する大きなポイントだということを意識しましょう。移住地が持つデメリットをしっかりと把握し、その上で自分自身が長く暮らせるかどうかを判断してください。
地域の人と住む前に交流ができる
移住体験しておくことで、移住前に地域住民との交流を深めることができます。
1か月という長期間の田舎暮らしで得られるメリットは、現地の生活環境や利便性に関する情報だけではありません。現地住民に混じって実生活を送ることで、移住する前に地域交流を図ることができます。
移住体験をしないまま田舎暮らしをスタートさせた場合、移住後にゼロから地域交流を始めることになります。現地住民の雰囲気なども分からないことから、スムーズに人間関係を築けない、移住先に馴染むのに時間がかかるといった問題が発生しがちです。
一方、移住体験を1ヶ月間にわたって行った場合、移住体験中にさまざまな地域交流を行うことができます。
自分自身にとって合う人達かどうかも見極めやすいことから、「人見知りするから前もって現地住民の様子を見ておきたい」「移住後の人間関係に不安がある」という方でも安心です。
移住後の生活のイメージがしやすい
あらかじめ1か月間の移住体験を行うことで、移住後の生活を具体的にイメージすることができます。
長期間の移住体験をするということは、現地に溶け込んだ暮らしを送るということです。現地で寝泊まりをする、スーパーで買い物をして自炊をする、生活利便施設まで足を運ぶといった現地住民と同様の日常生活を送るため、移住地を取り巻く環境を正確に知ることができます。
また、1か月間の移住体験には、実生活に必要な経費を算出できるというメリットもあります。
食費、日用品代、交通費、ガソリン代など、移住体験中にかかる生活費はさまざまです。長期間の移住体験を通して1ヶ月分の具体的な出費が分かるので、「移住生活にどのくらいお金がかかるか事前に知りたい」「収支バランスを見てから田舎暮らしをスタートさせるか検討したい」という方におすすめです。
1ヶ月の移住体験ができる自治体を5つ紹介

田舎暮らしができる自治体は、日本国内に数多く存在します。
しかし、1か月間という長期の移住体験ができる自治体は限られています。移住地の住み心地を事前にチェックしたい方は、長期間の移住体験に対応している自治体を見つけることが大切です。
以下は、1ヶ月の移住体験ができるおすすめの自治体5つです。
- 北海道東川市
- 新潟県佐渡市
- 福井県福井市
- 兵庫県朝来市
- 鹿児島県屋久島町
各自治体の概要、交通アクセス、自然環境、移住体験施設に関して解説していくので、田舎暮らしに興味がある方はぜひ参考にしてください。
北海道東川市

北海道の中央部に位置する東川市は、人口8,500人ほどの自治体です。
「旭岳」「忠別川」「忠別湖」「羽衣の滝」をはじめとする自然に恵まれた立地で、観光スポットとしても高い人気を得ています。「大雪山」の雪解け水を生活水として活用している東川市は、北海道で唯一の上水道がない自治体です。
大自然が生んだ水は水質が良く、ミネラルバランスも豊富という特徴を兼ね備えています。良質な水を日常的に飲めることから、「水と空気が美味しい環境で田舎暮らしを楽しみたい」「自然から湧き出た天然の水を味わいながら暮らしたい」という方に最適です。
また、美しい水が魅力の東川市では、農業や食品加工が盛んに行われています。
米、高原野菜、味噌、豆腐の生産地として知られており、健康的な食生活を安く実現できる移住地です。
東川市では、「大雪遊水ハウス」にて移住体験をすることができます。三角屋根が印象的なコテージ風のお試し住宅で、大きな窓から緑豊かな自然を眺められる点も特徴です。また、内装にもこだわっており、ライトブラウンと白を基調とした明るい部屋作りが施されています。
家財道具なども設置されているので、体験入居後すぐに田舎暮らしをスタートさせることができます。「大雪遊水ハウス」の利用可能シーズンは通年で、期間は5泊~2か月間です。ただし、4~10月の約半年間については、1ヶ月間が最大利用可能期間となっているので注意が必要です。
「大雪遊水ハウス」には、1LK+ロフト付きの部屋が2つ付いています。1室あたりの最大利用人数は6名で、台所やリビングルームは共同です。1か月間の利用料金は1室あたり84,000円となっており、インターネット通信費が料金に含まれています。
1か月間の移住体験ではリネン交換がされる仕組みなので、清潔な環境で寝られる点もポイントです。
また、「大雪遊水ハウス」には、駐車場が付いています。自家用車やレンタカーを安全に停められるので、周辺散策を楽しみたい方におすすめです。
ただし、「大雪遊水ハウス」で移住体験をする場合は、積雪シーズンに雪かきの作業に貢献する必要があります。
日常的に重労働をこなすことになるため、シニア世代や体力に自信がない方は注意しましょう。
尚、東川町の中心市街地からは車で約10分となっており、生活しやすい立地が魅力です。
新潟県佐渡市

新潟県佐渡市は、佐渡島に位置しています。
「大佐渡山地」「国府川」「加茂湖」「両津湾」をはじめとする大自然に囲まれており、緑と水のコントラストが美しい自治体です。
佐渡市では、さまざまな産業が盛んに行われているという特徴があります。農業、漁業、酒造業が主要な産業となっており、佐渡産コシヒカリや寒ブリの産地としても知られています。
また、温泉、神社仏閣、遺跡などの観光地も多いことから、さまざまな分野で仕事を見つけやすい移住地です。
佐渡市から県庁所在地の新潟市へ行く場合、船が主な交通手段となります。片道3時間半ほどかかることから、「都市部から遠く離れた場所で長閑な田舎暮らしを楽しみたい」「中途半端な場所じゃなくて本格的な田舎で生活してみたい」という方におすすめです。
佐渡市では、お試し移住体験用の「さど暮らし体験住宅」を提供しています。4種類の住宅があり、4DKで海と山から程近い「とよおか住宅」、山間部に位置する1Kの「かわも住宅」、3DKでスーパーから程近い立地の「はたの住宅」、4Kで中心街に近い「はもち住宅」から選択可能です。
利用料金は、「とよおか住宅」が月額30,000円~45,000円、「かわも住宅」が月額20,000円~30,000円、「はたの住宅」が月額30,000円~45,000円、「はもち住宅」は月額30,000円~45,000円です。
利用料金には水道光熱費、火災・家財保険料、通信費、放送受信料が含まれており、利用可能期間は1~6か月間となっています。
家電製品や調理器具等は備え付けてありますが、寝具は利用者自身が持ち込む必要があります。各お試し住宅には駐車場が付いており、移住体験中の移動手段を確保できる点もポイントです。
ペットの飼育が可能な住宅や農業研修に参加できる住宅もあるため、興味がある方はぜひチェックしてみましょう。尚、「さど暮らし体験住宅」は、夫婦の年齢合計が80歳未満、40歳未満の単身者、中学生以下の子どもを持つひとり親世帯、18歳未満の子どもが3人以上いる世帯といった条件のいずれかを満たすことで利用可能となります。
福井県福井市

福井市は、福井県の県庁所在地です。県内北部に位置しており、人口は25万人ほどとなっています。
福井市は、利便性の高さが魅力の自治体です。JR西日本、えちぜん鉄道、福井鉄道が市内を通っており、新幹線の停車駅でもあります。路線バス、高速バス、コミュニティバスなども豊富なことから、公共交通機関の便が良い移住地です。
また、教育機関も多く、小中学校、高等学校、大学はもちろん、中高一貫校も設置されています。教育の選択肢が非常に多いため、「田舎暮らしに憧れるけど子どもの教育にも力を入れたい」「ある程度田舎の雰囲気を楽しめて教育機会にも恵まれた場所で暮らしたい」という方にピッタリです。
暮らしやすい環境が整った福井市ですが、さまざまな自然環境を楽しめるというメリットもあります。
日本海、山、川、湖、島といったバリエーション豊富な自然を満喫できるので、自身に合う自然環境の中で暮らせる移住地です。
福井県福井市のお試し移住は、ホームステイ形式となっています。田畑が広がる長閑な田舎エリアで、築50年の住宅でホストと共に暮らすことができます。ホストファミリーは両親と子ども3人の5人家族となっており、ホストファミリー自身も福井市内への移住者です。
先輩移住者の自宅でお試し移住体験ができるので、田舎移住に関するアドバイスをより具体的に得られる環境です。
受け入れの対象は単身者、夫婦、カップル、家族世帯と幅広く、子連れにも優しい受け入れ先となっています。
季節に合わせてお花見、ピクニック、畑仕事、焚火、海水浴、雪遊びなどができる環境となっているので、福井市の魅力を大自然の中で堪能したい方におすすめです。
ホームステイには、2つの部屋タイプが用意されています。トイレ付きの個室とログハウス風の洋室があり、受け入れ可能期間は通年です。
料金はトイレ付きの個室が1か月間46,200円で、ログハウス風の洋室は39,600円です。料金には週5~7日分の食事や通信費が含まれていますが、12~3月の期間中は暖房費として月5,280円が加算されます。
未就学児は無料、小学生の利用料は大人の半額なので、家族一緒に移住体験がしやすい点もポイントです。
尚、ホームステイ先は、福井駅からバスで25分の立地です。ショッピングセンターまでは車で10分となっており、ホストファミリーが送迎に対応しています。駐車スペースが広いので、自家用車を持ち込みたい方にも最適です。
兵庫県朝来市

朝来市は、兵庫県の北部に位置しています。
「天空の城」として有名な竹田城跡がある自治体で、「出石糸井県立自然公園」や「朝来群山県立自然公園」をはじめとする自然が多いエリアです。
市内には食品メーカー、衣料・日用雑貨品、電力会社、酒造メーカーなどの企業や工場が集まっており、雇用機会が多いという特徴があります。仕事の選択肢が豊富にあることから、移住後の就職活動をスムーズに進められる移住地です。
また、朝来市から神戸市までの所要時間は、車で約1時間半です。JR西日本やバスを含む公共交通機関はもちろん、インターチェンジや国道も通る交通アクセスの良い立地となっています。
都市部から遠過ぎず近過ぎない距離感なので、利便性を兼ね備えた田舎暮らしを満喫できます。
朝来市は、子育て支援が盛んな点もポイントです。未就学児の子育て相談、交流会、遊びの場として活用できる子育て学習センターが設置されており、育児の悩みや不安を軽減しやすい環境が整っています。利用料金は無料となっているので、子育て世帯にとって暮らしやすい自治体です。
朝来市で提供されているお試し住宅は、計4種類です。
田園地帯の一軒家でゆったりとした移住体験ができる「川尻住宅」、竹田城跡の麓に位置する古民家で暮らせる「竹田住宅」、農村で田舎暮らしが体験できる「林垣住宅」、ホタルなどの野生生物が暮らす地域に住める「与布土住宅」があり、環境の異なるエリアで自分に合った田舎暮らしを楽しめます。
尚、全てのお試し住宅に和室が付いているので、通気性が良い住宅環境で暮らせる点もポイントです。
最も古いお試し住宅は「竹田住宅」の明治8年で、歴史を感じられる趣深さが魅力です。
利用期間は全て1か月単位となっており、最短1ヶ月、最長で24ヶ月まで移住体験することができます。長期間の利用を前提としているので、「とりあえず1ヶ月の予定だけど状況に合わせて延長も考えたい」「もし1ヶ月で十分に情報収集できなかったらどうしよう?」という方でも安心です。
お試し住宅の利用料金は、全て月額3万円となっています。家電製品は揃っているものの、水道光熱費、通信費、交通費、放送受信料などは一切含まれていません。
また、朝来市の移住体験をする場合は、自治会活動への参加の意思や、空き家バンクの登録者であることが利用条件に含まれるので注意しましょう。
鹿児島屋久島町

鹿児島屋久島町は、世界遺産の島として知られる自治体です。
島面積の約4分の1が世界遺産に登録されており、屋久杉や絶滅危急種の動植物が生息する独特の生態系が魅力です。森林のイメージが強い屋久島町ですが、海や川など多彩な自然環境が楽しめるエリアでもあります。
住むエリアによって異なる景観や雰囲気を楽しめるので、自身に合う住環境を見つけやすい移住地です。
島内で公共交通機関を使う場合は、路線バスを利用することになります。路線は4種類ほどで、沿岸を走るルートのほか、観光客向けのルートも運行されています。また、本島から屋久島町へ移動する場合の主な交通手段は、高速船です。「鹿児島本港」から発着しており、所要時間は約2時間~2時間半程度となっています。
本格的な田舎暮らしを楽しめる立地なので、「大自然に抱かれながら生き生きとした暮らしがしたい」「大都市から遠く離れた場所で自然と共生したい」という方におすすめです。
屋久島町で移住体験をする場合、ゲストハウスに滞在することができます。1ヶ月以上の受け入れで月々5,4450円の利用料となっており、キッチンは他のゲストと共同になっています。
冷蔵庫、洗濯機、乾燥機をはじめとする家電製品のほか、駐車場、駐輪場、ネット環境が整っている点もポイントです。「宮之浦港入口バス停」から徒歩5分に位置しており、スーパー、飲食店、郵便局などが徒歩圏内にある利便性の良い立地です。海が目の前にあるため、海風の心地よさを感じながら行き交う船を眺めることができます。
また、川遊び、お花見登山、釣り、山の中でのタンカン・ポンカン収穫をはじめとするイベントも多く開催されており、屋久島町が持つ自然の魅力を存分に堪能できる移住地です。
オーナー自身も移住者なので、屋久島で田舎暮らしをする際のアドバイスをもらいながら情報収集ができます。
尚、タイミングによっては農業のアルバイトができる可能性もあり、経済的負担の軽減に繋がるというメリットがあります。海と山に囲まれた環境で移住体験に挑戦したい方は、屋久島町のゲストハウスを訪れてみてはいかがでしょう?
まとめ

田舎暮らしをスタートさせたい方は、移住体験に挑戦してみましょう。1ヶ月間という長期間の移住生活を体験することで、現地の特徴や自分自身とのマッチングを確認することができます。また、移住前に現地住民との交流を深められることから、移住後の人間関係に悩みにくいというメリットも兼ね備えています。移住体験をする際は、1か月間という長期の利用に対応している自治体を見つけることが大切です。現地の暮らしやすさをしっかりと見極めるためにも、妥協せずに自治体探しを続けましょう。移住体験のプロセスを踏むことで、田舎暮らしの成功率を高めることに繋がります。