田舎はよそ者に厳しいのは本当なのか?

田舎はよそ者に厳しいのは本当なのか?

田舎エリアは、都市部在住者から高い支持を得ている移住先です。しかし、移住者をよそ者扱いする地域や現地住民が存在していることも事実です。以下は、田舎暮らしをするにあたって知っておくべき田舎エリアの実態となっています。

・結びつきが強い地域ほどよそ者には厳しい
・よそ者を受け付けない集落は特に注意が必要
・現代でも存在する村八分やよそ者いじめ
・都会以上のストレスに苛まれるケースも

移住先によっては、疎外感や悩みが尽きない田舎暮らしになる恐れもあります。田舎への移住を検討している方は、移住者が移住先でどのような扱いを受ける可能性があるかについて事前に把握しておきましょう。それでは、各項目を詳しく説明していきます。

結びつきが強い地域ほどよそ者には厳しい

地域住民同士の繋がりが強いエリアは、移住者にとって疎外感を抱きやすい移住先です。田舎暮らしで人間関係を構築する場合、移住者自身が積極的にコミュニティの中に飛び込んでいく必要があります。

しかし、既に住民間での絆や信頼関係が確立されているエリアでは、移住者が入り込みにくい雰囲気が漂っています。高いコミュニケーション能力や打たれ強いマインドが必要になるため、よそ者である移住者にとってハードルが高い移住先です。

よそ者を受け付けない集落は特に注意が必要

特に移住者に厳しいとされている移住先が、集落です。数十軒ほどの家屋が立ち並ぶ集落は、地域コミュニティの中でも最も規模が小さいと言われています。人口が極端に少ないことから、地域住民全員が家族のような付き合いをしているのが特徴です。

よそ者を排除したがる姿勢は、自治体の規模が小さくなればなるほど起こりやすい傾向にあります。移住者の存在が目立ちやすくなるため、よそ者と見なされるリスクが高くなっています。

現代でも存在する村八分やよそ者いじめ

田舎エリアは、非常に小さなコミュニティで形成されています。昔から変わらない住民で構成されており、人の入れ替わりなどがないという特徴が見られます。
視野が狭くなりやすいことから、現代社会においても村八分やよそ者いじめなどが発生している移住先です。近所付き合いや地域交流が希薄な都市部とは全く異なる環境となっているため、初めて田舎暮らしをする際は注意が必要です。

都会以上のストレスに苛まれるケースも

田舎暮らしに対して、「のんびりした環境でストレスと無縁の生活ができる」「地域交流をしながら地元も人達と仲良く暮らせる」といったイメージを持つ移住検討者は多い傾向にあります。しかし、移住先として選ぶ地域によっては、都市部での生活以上のストレスを感じる可能性が高いというのが実情です。

規模が狭く人口も少ない田舎エリアは、都市部から隔絶された独自の世界です。一般常識が通じないことも多く、その地に根付いている文化やルールの中で生きていかなければなりません。

現地住民にとって当たり前のことが自分には分からないというシチュエーションが起こりやすくなっていることから、現地住民からよそ者扱いされるのはもちろん、人間関係に対するストレスが蓄積しやすいというデメリットがあります。

移住を避けるべき自治体の特徴とチェックリスト

移住を避けるべき自治体の特徴とチェックリスト

田舎移住をするにあたって、「よそ者扱いされない自治体に移住するにはどうしたらいい?」「移住者に厳しい自治体ってどうやって見分けるの?」といった疑問を持つ方もいるのではないでしょうか?ここでは、移住に向かない自治体の特徴とチェックリストについて紹介していきます。

移住生活がしやすいエリアかどうかは、公的機関の対応、民間団体の有無、現地の雰囲気、PR活動の充実度などから図ることができます。田舎暮らしをスタートさせる前に現地訪問や移住体験を行い、チェックリストの項目を自ら確認することが大切です。

役所の雰囲気が暗い

移住に適した自治体かどうかを調べる際は、役所の雰囲気をチェックするのがおすすめです。役所は、その自治体の顔です。自治体全体の雰囲気がそのまま役所の空気感に反映されているケースが多いことから、自治体がどのようなエリアかを一目で把握することができます。
住民が明るい自治体は、役所の雰囲気もフレンドリーな傾向にあります。

一方、閉鎖的でよそ者を受け入れない姿勢の住民が多い自治体は、役所も冷たく暗い雰囲気なのが特徴です。移住しても「現地住民から受け入れられていない気がする」「いつになったらコミュニティの仲間として認めてもらえるんだろう」と感じやすいことから、理想の田舎暮らしとは程遠い暮らしになってしまいます。
役所の雰囲気=自治体全体の雰囲気だと理解し、過ごしやすい移住先か否かを見極めましょう。

移住相談窓口の対応が不親切

よそ者扱いされやすい自治体かを判断する重要な要素に、移住相談窓口の対応が挙げられます。
移住相談窓口は、移住者や定住者を増やすことを目的に開設されています。移住検討者へのヒアリングやアドバイスを専門的に行う仕事ですが、対応の良し悪しをしっかりとチェックすることが大切です。

移住相談窓口の対応が不親切な場合、自治体そのものが移住者に対して排他的な傾向にあります。「本当に移住者を増やしたい」「新しい住民を呼び込んで地域の活性化に繋げたい」と思っていないことから、移住しても現地に馴染めない可能性が高めです。

移住相談窓口に連絡しても返事が来ない、いい加減なアドバイスをされる、言い方が不必要にキツイと感じる場合は、移住を避けるのがベターです。
きちんと対応してくれる移住相談窓口を探し、安心して田舎暮らしできる自治体に移住しましょう。

不動産屋や工務店から「保守的」という単語をよく聞く

移住に向かない自治体を判別するヒントになるのが、「保守的」という言葉です。もし移住希望地の不動産屋や工務店から「保守的」というワードが出た場合は、移住について改めて慎重に考えるよう心掛けましょう。

保守的な人達は、古いやり方や生活を重んじています。新しい風潮や時代の流れを受け入れにくい傾向にあり、昔からその地に住む地域住民だけで生活したいと考えがちです。

保守的な自治体で田舎暮らしを送る場合は、移住者のことを「自分たちの昔ながらの暮らしを邪魔する異物」「これまで自分たちが守ってきたものを壊すよそ者」と認識する地域住民が多い点に気を付けましょう。地域交流などがスムーズにできない恐れがあるため、移住生活に適応するまでに時間を要する可能性が高めです。

住民が移住者の受け入れに消極的

移住者の受け入れに消極的な住民で構成された自治体は、あまり移住に適していません。
移住支援に力を入れている自治体がある一方で、よそ者と暮らすことに反対の意思を抱いている自治体も存在します。地域住民が移住者の受け入れに反対する主な理由が、昔から受け継がれている風習・しきたりの風化や、治安の悪化への懸念などです。

そのため、例え田舎暮らしを始めたとしても、「常に地域住民に監視されている気がして心が休まらない」「全く歓迎されていない気がする」といった暮らしにくさを感じやすくなっています。

現地住民との人間関係は、田舎暮らしの満足度を高める上で非常に重要な要素です。移住先でよそ者扱いされるリスクを軽減するためにも、地域住民が移住者にどのような印象を抱いているか確認するよう心掛けましょう。

移住者の受け入れ態勢が整っていない

移住地を選ぶ際は、移住者へのサポート体制が完備されているかどうかを確認しましょう。サポートの充実度をチェックすることで、現地の様子や移住に関する情報収集ができるのはもちろん、その自治体がどの程度移住者を大切にしているかを図ることができます。

移住者や定住者を積極的に受け入れている自治体では、移住者用ポータルサイト、移住相談窓口、移住支援制度、移住者交流会、移住体験プログラムをはじめとする多彩なシステムやイベントが確立されています。

一方、移住関連のサポートが充実していない自治体は、他の地域と比べて移住者へのケアが不十分です。自治体全体が移住者の受け入れ準備に万全でないことから、問題が起きてもしっかりと対応してもらえない、よそ者として扱われるといった問題が起こりやすくなっています。

移住者向けのWebサイトが無い

移住者向けのWebサイトの有無は、移住を避けるべき自治体かどうかを判断するのに有効です。
Webサイトの管理は、非常に手間がかかる作業です。IT化の普及により、Webサイトは最も人目につく情報ツールのひとつとなりました。

閲覧者数が多くなりやすいことから、常に最新情報をアップデートする、写真や動画を使って雰囲気が伝わりやすくする、グラフなどを活用して内容を分かりやすくするなどの工夫が必要です。

移住者向けのWebサイトがあるかどうかによって、その自治体の移住者受け入れ姿勢を垣間見ることができます。
移住者向けのWebサイトを開設している自治体は、積極的に移住者を集めたいと考えています。移住者の暮らしやすさに重きを置いていることから、移住後によそ者扱いされにくい点がポイントです。

しかし、移住者向けのWebサイトがない自治体や全く更新されていない自治体の場合、移住者への対応もWebサイト同様におざなりになる可能性が高くなっています。住み心地の悪さを感じる恐れがあるため、移住を検討する際は注意が必要です。

観光者用の看板が少ない

現地訪問をする際は、観光客向けの看板に着目してみましょう。
観光者へのPRを全く行っていない自治体の住民は、他人が自分たちのコミュニティに入ってくることに抵抗感を抱きやすい傾向にあります。コミュニティ外の人々と接する機会が極端に少ないことから、移住者のこともよそ者と判断する住民が多い点に注意が必要です。

一方、観光に力を入れている自治体は、他エリアからの人々に寛容です。見知らぬ人々との交流にも慣れているため、移住者に対しても優しいという特徴があります。
居心地の良い自治体へ移住したい方は、観光者用PRの充実度をチェックしてみましょう。移住を避けるべき自治体かどうか判断ができるので、田舎暮らしの失敗を未然に防ぐことができます。

観光者用のパンフレットが不十分

移住を避けるべき自治体の特徴に、観光用パンフレットの質の低さが挙げられます。観光客向けのパンフレットに力を入れていない自治体は、そのエリアの良さや特色を他者にアピールしようという意思がありません。

「自治体に観光客を呼び込んで地域全体を盛り上げたい」「他エリアの人たちから観光地としての興味を持ってほしい」といった姿勢がなく、自治体や地域住民だけで生活をまかなっているという特徴があります。移住者=自治体にとって不要な存在と考えている自治体も多いことから、よそ者として扱われやすいことを覚えておきましょう。

地域おこし協力隊の定着率が悪い

移住先に適したエリアか見極める際は、地域おこし協力隊の定着率に着目してください。
地域おこし協力隊とは、移住先の地域活性化やPR活動に携わる移住者のことです。任期は最大3年間ですが、任期終了後に移住生活から離脱する層も一定数存在しています。

総務省が令和4年に発表した「令和3年度における地域おこし協力隊の活動状況等」によると、令和3年度に任期を終了した地域おこし協力隊のうち65%程度がそのまま定住しています。移住候補地を決めたら、現地の地域おこし協力隊の定着率を全国平均の65%と比較してみましょう。
極端に定着率が低い場合は、よそ者である移住者にとって暮らしにくい点がないかを調べることが大切です。

民間で移住者の相談に乗ってくれる人が少ない

移住相談できる相手が公的機関しかない自治体は、田舎暮らしがしにくい傾向にあります。田舎暮らしには、さまざまな問題や悩みが付きものです。民間の移住支援団体や先輩移住者がいる自治体で暮らす場合、デメリットに対する理解や解決策の提案などを得ることができます。

しかし、役所などの公的機関しかない自治体では、そもそも自分の悩みを理解してもらえない可能性が高めです。役所などの公的機関は、あくまで自治体側の立場として機能しています。

そのため、デメリットを良い方向に解釈するようアドバイスされるなど、移住者側に気持ちの切り替えを求める傾向にあります。根本的な問題の解決には繋がらないため、精神的なストレスが溜まりやすい、孤独感を味わいやすいといった点に注意が必要です。

田舎暮らしでよそ者扱いされないための対処法

田舎暮らしでよそ者扱いされないための対処法

移住者に対して排他的な傾向の田舎エリアですが、コツを押さえることで現地に馴染みやすくなります。「周りが敵ばかりの環境に移住するのは怖い」「現地住民に疎まれながら生活することになったらどうしよう」といった不安を感じている方は、田舎暮らしへの適応力を身につけましょう。
以下は、田舎暮らしでよそ者扱いされないために必要な4つの対処法です。

・移住者の受け入れが積極的な自治体を選ぼう
・移住先の雰囲気を事前に確認しておこう
・困ったら先輩移住者に相談する
・最初はよそ者でも心が通じ合えば優しく接してくれる

事前調査や準備を徹底することはもちろん、先輩移住者を頼ることも大切です。また、現地住民に心を開いてもらうためにも、自ら積極的に交流する姿勢を見せましょう。4つの項目について詳しくお話ししていくので、田舎暮らしを検討中の方はぜひ参考にしてください。

移住者の受け入れが積極的な自治体を選ぼう

田舎暮らしでよそ者扱いされないためにも、移住者へのサポート体制が整っている自治体を選ぶことがポイントです。移住者の受け入れが盛んな自治体の場合、地域住民の間でも同様の雰囲気が広まっている傾向にあります。

「新しい人たちが入って来たらコミュニティが賑やかになる」「自分たちの地域を移住先に選んだ人たちに優しくしたい」と考えている地域住民も多いことから、スムーズに移住生活に馴染むことができます。

移住者を受け入れていない自治体に移住した場合、快適な田舎暮らしを叶えることは困難です。疎外感や孤独と無縁の生活を送るためにも、移住サポート体制が充実している自治体を選ぶよう心掛けましょう。

移住先の雰囲気を事前に確認しておこう

快適な田舎暮らしを求める上で、移住先の雰囲気をあらかじめチェックしておくことは非常に重要です。移住候補地をある程度まで絞ったら、実際に現地を訪問してみましょう。役所、スーパー、公共交通機関などを利用することにより、現地の雰囲気を移住前に確認することができます。

自分との相性はもちろん、自治体がどのように移住者へ対応しているかも垣間見えるため、「本当にこの地で田舎暮らしを続けていけるか」「よそ者扱いされてツライ思いをしないか」などを見極められる方法です。

尚、本格的に移住先の様子を調べたい場合は、移住体験も視野に入れてみましょう。一定期間の移住体験を経ることで、現地住民と交流する機会を増やすことができます。移住者に対して友好的かどうかを確認してから移住できるため、田舎暮らしの成功率を高めることに繋がります。

困ったら先輩移住者に相談する

先輩移住者との繋がりを確保することにより、田舎暮らしでよそ者扱いされるリスクを回避することができます。
既に一定期間にわたって移住生活をしている先輩移住者は、新人移住者にとって良き理解者です。田舎暮らしに馴染むための方法や現地住民に受け入れてもらうためのアドバイスなどをもらえる可能性が高いことから、移住先の生活に前向きに適応していくことができます。

また、先輩移住者に相談することにより、現地住民を紹介してもらえるというメリットが発生するのもポイントです。
よそ者に厳しい現地住民であっても、知り合いからの紹介であれば話は別です。新たな仲間として現地コミュニティに受け入れてもらえる確率がアップするので、困った時は先輩移住者を頼るようにしましょう。

最初はよそ者でも心が通じ合えば優しく接してくれる

田舎暮らしに馴染む上で大切なことは、時間をかけることです。
見ず知らずの人間に敏感な現地住民にとって、移住者は受け入れるのに時間がかかる存在です。顔見知り同士でコミュニティを築いてきたという特徴があるため、「新しく入ってきた人にどんな風に接したらいいか分からない」「相手がどんな人か分からないから様子見をしたい」と考える現地住民が多いということを理解しましょう。

移住直後はよそ者であっても、ずっとそのままの扱われ方が続くかどうかは移住者次第です。移住先のルールに従って暮らす、現地住民とできるだけ会話するチャンスを作る、地域交流に積極的に参加するといった努力を重ねることにより、現地住民との間に信頼関係を作ることができます。
移住先に馴染むまで長期戦になることを覚悟し、疎外感を抱いてもめげずに行動を続けることが大切です。

まとめ

まとめ

田舎エリアの中には、移住者に優しくない自治体が多数存在しています。閉鎖的かつ独自のコミュニティを持つことから、他の地域から来た移住者をよそ者として扱う傾向にあります。
移住者が暮らしやすい自治体を見極めるためにも、移住者への対応や受け入れ状況、自治体の雰囲気、観光客へのPR充実度などを事前にチェックするよう心掛けましょう。

また、自治体の選び方、移住先の事前調査、先輩移住者への相談といった対策を取ることにより、現地住民からよそ者扱いされるリスクを軽減することができます。
時間が解決してくれるというケースも多々あるので、自分のペースで田舎暮らしに馴染む努力を続けることが大切です。現地住民との良好な人間関係を保ち、快適な田舎暮らしを叶えましょう。