地方移住で家付きの自治体を選ぶメリット

まずは、地方移住で家付きの自治体を選ぶメリットを見てみましょう。

自分で探す手間が省ける

地方移住で家付きの自治体を選ぶメリット

地方移住にあたっては、家=住まいが必要です。自分で探すにしても、不動産のポータルサイトに情報が掲載されていなかったり、不動産業者で取り扱っていなかったりすると、簡単には見つけられません。

現地まで出向いて探すのも大変です。何度も往復しなければならず、移動や宿泊の費用もかかります。家主が個人で売却しているならば、自ら交渉に臨まなければならず、さらに負担は大きくなるでしょう。交渉がうまくいかないと、適正な価格で購入できないかもしれません。十分に物件情報を収集できず、住み始めてから後悔する場合もあります。

家付きで移住できるのであれば、こうしたリスクを避けられるでしょう。あらかじめ物件の概要や価格が分かっているので、より具体的に移住をイメージしやすくなるはずです。

移住を促進している自治体では、「空き家バンク」という制度を運用しています。空き家や借家の情報を自治体がホームページ上で公開し、問い合わせの窓口になるというものです。

家の情報が集約されているので、何度も足を運んで探す手間が省けます。不明な点があっても、すぐに問い合わせできますから、家選びで後悔するのを避けられるでしょう。ただし、実際の売買や賃貸契約は、不動産会社を仲介するか、当事者同士で行います。

自治体の中には、空き家バンクでの情報提供だけでなく、移住希望者の相談に応じたり、就労先を紹介したりするなど、総合的なサポートを行っているところもあるので、積極的に利用したいところです。

物件だけでなく農地などがついてくる場合もある

地方移住でやりたいことの中でも、「農業」は上位にランクされるほど人気があります。家の敷地内で家庭菜園を楽しむくらいなら、特に問題はありません。畑付きの家を探せば、簡単に実現できます。

もし、家に加えて農地も付いてくる場合は注意が必要です。農地法の第3条によって、農地は農業委員会の許可がないと、購入や賃貸ができない決まりとなっています。

許可を得るには、取得後に農業を営むのが条件で、そのための面積(経営面積)も北海道は2ヘクタール(20,000平方メートル)、それ以外は50アール(5,000平方メートル)以上でなければいけません。

ただし、自治体の中には農業委員会と提携して、空き家バンク経由で農地付きの空き家を取得すると、経営面積が緩和されるところがあります。原則は10アール(1,000平方メートル)以上ですが、農業の担い手が不足している自治体では、新規就農を促進するために、もっと緩和しているところも少なくありません。

仮に条件となる経営面積が1アール(100平方メートル)以上であれば約30坪ですから、初心者でも農業を営みやすくなるでしょう。

地方移住で家付きの自治体は?

地方移住で家付きの自治体は?

家付きで移住できる自治体は、いくつか存在しますが、その中から魅力的な支援を行っているところを4つ紹介します。

島根県雲南市

雲南市は、島根県の二大都市である松江市と出雲市の南側に位置する、人口約35,000人の自治体です。2004年11月に6つの自治体が合併して誕生しました。松江市や出雲市までは、JRなら市役所の最寄り駅である木次駅から約1時間、車なら三刀屋木次ICから松江自動車道に乗って、約30分でアクセスできます。

雲南市は、移住に積極的です。住宅取得を支援する制度も充実しています。先ほどの農地付き空き家の経営面積緩和についても、平成24年(2012年)に全国に先駆けて導入しました。本来は地域によって20~30アール以上の経営面積がなければいけませんが、空き家バンクの利用によって1アール以上に緩和されます。

ほかにも、空き家バンク経由で物件を購入すると、改修や片付けにかかる費用の一部が補助されてお得です。前者は、子育て世帯が空き家バンク経由で物件を購入して改修すると、60万円を上限に費用の1/3が補助されます。後者は、5万円を上限に1/2の補助です。

もちろん、最初は雲南市の公営住宅に入居して、あらためて空き家バンク経由で物件探しをすることもできます。

福井県福井市

福井市は福井県の県庁所在地であり、人口約26万人の中核都市です。JRなら東京まで約3時間10分、大阪まで1時間50分ほどでアクセスできます。2023年度末に北陸新幹線が敦賀市まで開通すれば、さらに東京方面のアクセスが良くなるでしょう。

都市機能が充実している一方で、少し足を伸ばせば自然が豊富です。周辺の自治体とはJRに加えて福井鉄道や、えちぜん鉄道といった私鉄、車なら北陸自動車道や中部縦貫自動車道で連絡されています。

福井市では、40歳未満の子育て世帯や新婚世帯、U・Iターン世帯の移住に力を入れており、住宅取得の支援も積極的です。例えば、空き家の取得に30万円、リフォームには30万円を上限に費用の1/5を補助しています。

空き家バンクを経由して賃貸住宅に居住する場合は、25,000円を上限に家賃の1/3を最大24ヶ月補助です。U・Iターン世帯で、居住誘導区域の住宅を賃貸するなら、上限は35,000円になります。

就農を考えているなら、福井農林支援センターがサポートや資金援助をしてくれるので、未経験でも安心です。

静岡県藤枝市

藤枝市は、静岡県のほぼ中央に位置しています。人口は約14万人で、東隣は県庁所在地の静岡市です。

JRの藤枝駅から北側に向けて再開発が行われ、新しい街づくりが進められています。一方で、街の中心を流れる瀬戸川周辺をはじめ、自然が豊富なところも魅力です。サッカーの街としても知られています。郊外には国道1号線が走っており、新東名高速道路にも簡単にアクセスできるのが便利です。

そんな藤枝市は、18歳以下の子どもがいる世帯や、結婚から3年以内の夫婦の移住に力を入れており、住宅取得についても手厚い支援を行っています。

どちらも住宅の購入や建築の費用、引っ越しにかかる費用が対象です。市外からの転入であれば、それぞれ50万円を上限に費用の1/2を補助してくれます。両者は併用が可能なので、最大で100万円の補助です。

空き家や中古マンションの取得であれば、幅広い世帯が対象になります。購入や引っ越しだけでなく、リフォームやリノベーションといった改修にかかる費用も対象です。費用の1/2が補助されますが、子育て世帯であれば最大で170万円と、最も優遇されます。

佐賀県伊万里市

伊万里市は、佐賀県の西側に位置し、「伊万里焼」という磁器の街として有名です。南隣には「有田焼」で有名な西松浦郡有田町があります。

人口は約52,000人で、佐賀県でありながら長崎県の佐世保市と隣接しており、交通網やテレビ放送など、福岡県との結びつきも強い街です。移住を考えているなら、企業誘致・商工振興課の情報提供により、前もって農家で民泊したり、焼物づくりを体験できたりします。

住宅の取得にあたっては、40歳未満の転入世帯を対象に奨励金を支給する制度を実施中です。新築住宅や空き家の購入には最大100万円、空き家のリフォームには50万円を上限に費用の1/2が支給されます。

さらに、住宅の購入ではフラット35の地域活性化型を利用できるため、最初の5年間は金利が0.25%引き下げです。

奨励金の支給は、年度ごとに対象や申請の期間が区切られているため、次年度の実施については伊万里市の移住・定住相談窓口に問い合わせましょう。

まとめ

家付きで地方移住できれば、探す手間が省けて、費用や生活の見通しも立てられます。農業を営む場合も、自治体によっては空き家バンクの経由によって、始めやすくなるでしょう。多くの自治体では、子育て世帯を対象にした住宅取得の支援が充実しています。